デザイン・ものづくりで大切な「素材(材料)選び」

素材を考えてデザインしよう。
デザインをする上で、カタチ、機能、素材(材料)とその加工法は大変重要な関わりを持っています。モノの精度や品質、開発のスピードがいままで以上に厳しく要求されるようになっており、また環境問題など社会的な要請に応えるデザインが求められています。
このような背景からも、素材や加工法などを理解せずにものづくりをできない状況になっています。
素材や加工のことは設計者や製造メーカーにおまかせ。では、「つくれません」という一言で、細部まで配慮し、こだわりつくりあげた商品企画がお蔵入り。デザインクオリティーを維持した高い製品ができないということにつながりかねません。

素材選びは条件だしから
素材選びの失敗として多いのが、素材選択の間違いです。
現在の商品は高い性能や耐久性をより適切なコストで、と複雑な要求が求められています。また、地球環境への配慮も求められているため、数多くの素材の中から適切な材料を選ぶことは、より一層難しくなっています。

例をあげてみましょう。
「透明のコップがほしい」とします。
素材の候補としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、メタクリル樹脂、ポリスチレン(PS)、ABSなどがあがってきます。(ここでは一般グレードで検討します。)

次に用途や使用方法により選択される材料が変わります。
使い捨てであればPETやポリスチレンなど、日常使いであればポリカーボネート、メタクリル樹脂や透明ABS樹脂などが考えられます。
ここでは日常使いのコップとして、冷水用であればAS樹脂やメタクリル樹脂、ABS樹脂が選ばれるでしょう。
冷水用でも耐衝撃性が加わると、メタクリル樹脂やABS樹脂が選ばれます。
熱い飲料を入れたい、食洗機に対応したいなどのより高い耐熱性が条件に加わるとポリカーボネート、ポリプロピレンなどが選択されます。
このように透明のコップであっても使う目的や使う条件によって最適な材料が変わってきます。

長短を見極めて素材を選ぼう。
正しい材料を選択するには、求める製品の条件を十分に把握することが必要です。
そして、その要求に素材の特性を照らし合わせて検討することが重要です。

素材にはそれぞれ長所と短所があります。
製品に要求される性能やコストをすべて100点満点で満足する材料を見つけることは難しいです。素材を選択する場合は、重要項目をいくつ満足しているかではなく、重視する項目が何か、その項目を満足できる素材はどれかを見極め選択することが大切です。



素材とデザインの教科書

アイ・シー・アイデザイン研究所が、日経デザインで10回連載した「デザイナーのための素材・加工法」を「素材とデザインの教科書」の一部としてまとめていただきました。

日経デザインで紹介された素材と共に、素材の基礎を解説しています。

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