問題をどう解決するか 価値をどうつくるか
ICI Designは、デザインに取り組む姿勢を「問題解決の提供者」という言葉で表しています。
モノづくりを通じて、常に問題に対してクライアントと一緒に取り組み、考え、問題点を明らかにすることから新たな価値をつくりだす、という姿勢です。
そして、「何が問題なのか」と同時に「誰のための問題なのか」という点に注目し、開発の目標を明らかにして「視点」の設定を行います。
プロジェクトは、一人では完成しません。成功するには多くの人の協力が必要です。開発に携わる全員の意思を統一するためにも、「目標の明確化」が必要となります。
問題を明確にすることは、わかりやすく説得力のある商品を精度よく開発ために欠かせないものであり、独自の視点からの発送は、独創的で、矛盾や無駄のない素直なコンセプトの商品を導くことができます。
問題をみつけだす
では、どのように問題を見つけ出し、解決するのでしょうか。
ひとつの事例を紹介しましょう。
ある歯ブラシメーカーとの開発にあたり、様々な歯ブラシにまつわる問題や課題をピックアップしていました。その中のひとつに「子どもの歯ブラシによる事故」がありました。
命にかかわる「問題」が隠れていたのです。
詳しく調べてみると、事故件数がかなりあること。そして、ヒアリングをしてみると「歯ブラシを嫌がる」「痛がる」など子どもと歯ブラシにまつわる困りごとが多いことがわかりました。
消費者庁によると、2016年までの6年間に6歳以下の子どもの歯ブラシによる事故の情報が139件報告されている。年齢別では1歳児が64件、2歳児が42件、3歳児が17件と、1~3歳が約9割を占める。
Vol.420 歯ブラシ等での喉突きに注意! 消費者庁
価値をどうつくるか
そこで、まず、子どもの歯ブラシによる事故を防ぐ。方法を検証しました。
喉つき防止プレートつき歯ブラシ、リング状になった歯ブラシなど様々な歯ブラシのメリット、デメリットを洗い出し、どのようにすればのどつき事故が減らせるか。どのような状況でのどつき事故がおきているのかを検証しました。
その過程で、
そもそも「歯を磨く」とは何を目的としているのか。子どもに歯ブラシを持たせることがいいことなのかどうか。など、歯科医、歯科衛生士など専門家の意見を多く伺い検討をおこないました。
ヒアリングの中で、「大人と同じものを持ちたがる」という意見もあり、一見すると普通の歯ブラシと同じ形状にもこだわりました。
その結果、歯ブラシ自身が、強い力がかると「曲がる」というアイデアにたどりつきました。もちろん「安全性」をうたうにあたって、公的な試験場で試験をおこない、重篤な事故にはつながらない。というエビデンスを取得し、はじめて、素材と機構で安全性を担保する歯ブラシができあがりました。
「歯を磨く」という機能は同じでも、子どもへの安全や安心に対する考え方が明確であることで、市場に認められる価値に大きな差があらわれました。
メディアでの取り上げも多く、 東京都商品等安全対策協議会「子供に対する歯ブラシの安全対策」 (平成 29 年2月 14 日東京都)において、安全対策を施した歯ブラシとして紹介される。子どもの安全に配慮した商品としてキッズデザイン賞を受賞するなど、社会的な評価が大きい商品となりました
企業の想いを伝える商品
商品には、作り手企業からの社会へのメッセージとしての側面があります。メッセージを商品に込め、提案という形で世の中に発信していると考えることができます。
そのモノからのメッセージは、次第に企業のイメージを形作ります。モノは単に「会社の利益をもたらすもの」ではなく、企業理念や思想をかたちづくるものであることも、大切な視点となります。
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アイ・シー・アイデザイン研究所は
プロダクトデザインを中心に商品開発を支援する大阪のデザイン会社です。
コンセプト立案からアイデア展開、3DCADによる設計、試作、製造、事業化など幅広い業務を行っています。
- アイデアはあるけれど、「デザイン」や「設計」ができない。
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